2019年2月13日水曜日

4390 ips(アイ・ピー・エス)の3Q検討

1 株価の推移
2月13日前場終了時点において、株価は1168円。
前回更新した1月20日の1345円から、大きく下落した。

せっかくチャートでは、25日線がやっと上向いてきたなと思っていたのが、またこれで厳しい状況である。というか、ほぼ全員含み損モードに入ってしまった。

日経爆上げからも完全に蚊帳の外で、ため息が尽きない。

前回のブログでは、3Qに期待しても意味が無いと書いたのだが、どうやら3Q決算に期待していた投資家が少なからずいたようである。私も決算チャレンジが好きなので、まあ、サプライズがなかった以上は売るという判断は、そうなのかなとも思う。

ただ、全く悲観する必要はない。
個人的には、事業の進捗は計画通りで、期待はやはり高いと感じた。

その理由を、数字と資料をもとにして、これから書いていく。

2 3Qの分析
⑴ 分析シート
さて、ipsの事業は分かりにくいということもあるので、イメージをつきやすくするため、今回も分析シートで見てみよう。





赤色にしているところが、今回の補足説明資料で詳しめに触れられている部分である。
(なお、積極的な個人投資家向けIRという点は、その直前にでたリテラクレア証券での初めての個人投資家説明会のPRから。)

この後の文では、シートのキーワードが出てくるところを太字下線で強調してみた。

分かるように、やはり今ipsが力を入れているのは、海外通信事業とフィリピン国内通信事業である。

ただ、今日は足を引っ張っている事業から、先に私の見解を。

⑵ 在留フィリピン事業について
3Qまでで、2400万円の赤字である。
主に、日本で働くフィリピン人の紹介事業である。

資料でも在留フィリピン事業についてはあまり触れられていなかった。
在留フィリピン人事業について、私の個人的な予測見解にはなるが今の現状の分析について簡単に。

要するに、今はフィリピン人が日本で働きたい!と思っていないのである。昔ほど、フィリピン人が日本に来ていない。前からいたフィリピン人(日本人と結婚している人が多い)は徐々に高齢化している。

フィリピンの急速な高度成長にともなって、母国語が英語のフィリピン人については、他の東南アジアと比べて能力が高くなっている。なので、欧米から引く手あまたになるように環境が変わってきた。フィリピン人にとっては、ヨーロッパやアメリカに行った方が、より稼ぐことができる。

日本人が「介護で安くフィリピン人を雇いたい!」なんていう古すぎる願望は、通用しない時代が急速にやってきつつある。そんな中、日本のフィリピン人を雇いたいニーズとフィリピンのより良い給料で出稼ぎたいというニーズが合わなくなってきているのである。

このことは、ipsの新年挨拶において
構造的問題に直面しているのは、日本だけではなく、制度改正が行われただけで海外から労働力が流入して、労働力不足が解決するような状況にはありません。当社が長年行っている介護分野の開放についていえば、優秀なフィリピンの若手介護従事者を確保するためには、日本での就労のほうが、英語のできるフィリピン人の看護学校の学生の就職先として、「看護師として英語で中近東や欧州で就労し、最後は米国の永住権を取得して永住するプロセス」よりも魅力的であることを、フィリピンで十分に認知してもらう必要があります」

と課題を述べていることからも、推測することができる。

なので、本音を言えば、赤字(今のところ2400万)を出すくらいならさっさと勇気ある撤退をしてほしい。

ただ、ipsの歴史を見るとこれまでipsは在留フィリピン事業を長年やっていて、利益を出し続けていたこと、そして今回秋に成立した入国管理法の改正が、新年の抱負では蓄積してきたノウハウを活用できる機会と考えているという記載があった。

ちょっと時代の流れが今回の改正で変わるのか、少し見てみたい。

⑶ 海外通信事業について
3Q累計は、売上1154、営利379。

海外通信事業については、1つ投資家からがっかりされているかもしれないと思う点があった。


マニラ地区のIRUの売上計上の終了による売上げ減と単価引き下げのために、帯域量は前年比+63%であるにもかかわらず、前年同期比の海外通信事業の売上がほぼ横ばいであったからである。
そして、資料では、マニラ地区については、売上収益は今後横ばいとなることが予想されるとあった。この横ばいという点にがっかりしたのではないかと思うのである。

ただ、これはもともと想定していたことである。
もともと、マニラのCATVについては、もう掘り起しがあるような段階にはなく、今後は通信料が上がることもあまり期待できないということだった。skyとの連携強化が課題となっていた部分でもある。
そこで、去年の9月13日でのIRにあるように、ipsはフィリピン全土に進出することを考え、フィリピン全土での通信事業の事業者適格が付与された。

そして、2Qの機関投資家説明会資料であったように、これまで20社と長年契約してきたものについて、1Qで4社の新規契約を目標として地方への進出を始めたのである。

特にミンダナオについては、あまり治安も良くない地域であるということをまだ大手事業者が浸食していない地域とポジティブに捉え、今本気で攻略をかけている。

そして、実際に




とあるように3Qでは、無事に新規契約を4つとった。そして、4Qでも既に2社契約をとっており、ほか3社は今交渉中のようである。

引渡しは契約との間にタイムラグがあるようなので、これが全部4Qにのってくるのかは分からないが、いずれにしても遅かれ早かれ売上に貢献されることは間違いない。

なので、マニラが横ばいであったとしても、今後は+アルファで売上が伸びるはずなのである。

なので推測しよう。

海外通信事業は、「今回3Q(か4Q)のここが底!!!」のはずである。

なお、1つ付言がある。
私はCATV向けの海外通信事業については①マニラ地区においては堀り尽くしていて、これからは伸びしろがない⇒②だから、マニラ地区+マニラ地区以外の地方で売上を伸ばしていくという段階を踏んでいくと考えていた。
実際に3Qもそのことを示す数字になっている。
ただ、IRに問い合わせたところによれば、地方はもちろんとして、マニラ地区もまだ伸びると思っているニュアンスが感じられた。私の理解はちょっと守りにはいっているようで、このまま何もしなければマニラ地区は横ばいであろうが、このままにはしないというニュアンスがあるように思われた。あまり期待しすぎずにではあるが、マニラ地区も見守っていきたいと思う。

⑷ フィリピン国内通信事業について
フィリピン国内通信事業の伸びは著しい。




のとおりであり、法人顧客も、開通ビルも、帯域量も、QonQでぐんぐん伸びている。
大口ユーザーからの問い合わせも増えているようで、売上も前年2400万→2億4000万と前期比で約10倍になった。

この順調さで、何で今回売られたの?とも思っていたのだが

営利については、3Q累計で200万である。3Q単独で1000万だったので、ここでフィリピン国内通信事業って本当は利益でないんじゃないの?と考えて売った投資家もいるかもしれない。

しかし、それは杞憂だと考えている。



今、ipsはバンバン自社光ファイバーの工事をしているのである。
そして、もっというと、



バンバン、鉄道へのファイバー敷設も行っている。
今はまさにサービスを提供するために工事費用など多額の費用が必要になっている段階で、他方で、工事が終わった部分については費用が減るので、徐々に利益率が高くなる計算となる。
この事業は、どこかで「確変」が起こるはず(いつかはまだ不明)なので、今は黒字化を喜んで、今後楽しみにしてゆっくり追いかけていきたい。

売上毎月10億円突破法人向けインターネットシェア15%確保!に向けて、是非頑張ってほしい。

⑸ 無線ブロードバンドサービス
これは新しい情報だが、私の分析シートではWifiのマネタイズに当てはまると思う。
マニラ首都圏地域の2都市で、無線機器の設置に関する覚書を締結したようである。

無線によるブロードバンドサービス
という楽しみな新事業が立ち上がりそうなので、追って詳細を待ちたい。

⑹ 為替差益の問題について
さて、こう書いてみると、ますます何で売られたんだろうと思ってため息も出てしまうのだが、

ふと株探の表をみていて思ったのが
「売上も営利もQonQで伸びているが、QonQでみると経常利益と純利益がほとんどなくなってる!これはまずいのでは!」
と考えて売った投資家もいるかもしれないということである。

ただ、これは会計のルール上しょうがない。

要するに、
ipsについては、外国資産の保有が多いので、1Qの終わり時点(6月30日)でその時の為替の基準で評価し、2Qの終わり時点(9月30日)の為替でもし円安に振れていると、評価益が出て、これが為替差益として計上される。

そして、今度は3Qの終わり時点(12月31日)でまた判断し、2Qと3Qを比べて3Qの方が2Qよりも円安になっていれば、さらに為替差益が発生するが、3Qの方が2Qよりも円高になっていると、今度は2Qで計算していた為替差益を減らすことになるので、経常利益が減ってしまうのである。

2Q終了時点が113.8円くらいで、3Q終了時が109.7円位であったから、約4円違った。そのために、資産が-で評価されてしまって経常利益が下がったのである。

次、3月31日を基準として、109.7円よりも↑か↓かで経常利益はまた変わってくると思う。

これは取引とかは全く関係ない部分なので、もうしょうがないとしかいいようがない。

3 最後に
明日の引け後にIRTVで、決算の説明と「今後の対応策」が出るようである。

今回、いくつかIRに質問したが、IRTVでの回答となるという返事もあったので、楽しみに待ちたいと思う。

あと、2月28日はリテラクレア証券で個人投資家向けの説明会がある。1部昇格に向け、株主を増やすための積極的な個人投資家向けIRがとうとう始まった。
直接の説明や質問で得られるものはとても多い。

私は地方在住なので参加できないが、ipsホルダーの方は是非参加して欲しいなと思う。

全員含み損モードになってしまって、切ないipsではあるが、今後も追いかけていきたい。