2019年5月12日日曜日

4390 ips(アイ・ピー・エス)の本決算検討

1 株価の推移
 5月10日の終値は1390円
 前回ipsに関するブログを更新したのが、3月17日で優待視察旅行の発表をしたときだった。その時の株価が1236円。
 3月17日からは150円程上昇している。
 が、4月24日には1596円の高値があっった。
 
 去年の11月にipsの初めてのブログを書いたときが、1550円だったので、1596円であれば「ブログ読んで買った人は、これで全員救われましたよね??ね?」と言えるところだったのだが、残念ながらこの一週間でまた調整にはいった。

 5月10日までの上方修正を期待していたのだが、結果的に上方修正はなかった。
直近1週間で100円も下がったのは、これと無関係ではない。
 ところが、10日発表の決算をみると、結果的に数字は上振れだったので、
「この数字なら、上方修正を事前に出せば1週間で株価はこんなに調整しなかったんじゃないか?」と正直思うこともある。
 ただ、この数字だと修正義務があるわけではなく、数字に狂いがでると一部昇格の障害になるかもしれないので、やむを得ないかと考えて自分を納得させている。

2 本決算について  

  さて、ipsはフィリピンで色んな事業をやっているので、ぱっとみてもよくわからない。
 というわけで、今回も整理のためにipsの分析シートでみてみる。赤色部分が今回注目した部分である。

3 立会外分売について
 このブログでは、再三にわたって「ipsは本気で一部昇格を狙っている」と書いてきた。
 10日付で、立会外分売が発表され、その中で
 

 「一部への市場変更申請について具体的に準備を進めております」とばっちり明確に記載が出てきた。(ドヤァといいたいが株価が微妙なのでできない)
 あと足りないのは、株主数だけである。先々月の優待視察旅行で、株主数は随分と増えていることが予想されるので、今回の分売とあわせて、一部昇格期待はより現実的なものとなった。
 ちなみに、東証一部に昇格すると、TOPIX買いなどでの株価上昇が期待できるほか、外国人投資家や機関投資家のうち「東証一部じゃないと買わない」投資家の投資対象にもなる。
 時価総額向上のために、是非昇格はものにしてほしい。

3 10日発表の前期本決算のざっとした感想
 「色々ハプニングもあったけど、よく頑張りましたよね!」というのが実感である。フィリピンらしい。
 フィリピン国内通信事業が投資段階ではありながらも徐々に収益を上げていき、医療美容の急成長もあって、海外通信事業の値下げハプニングと在留フィリピンの足の引っ張りを補ったという感じであった。
 以下、個別に雑感をば。
 
 ⑴ 海外通信事業
 売上1503、営利489で、いずれも前期比マイナス。
 一番のマイナス面での原因は、契約更新時の値下げによる売上減と利益減である。
 提供容量は営業を頑張って大きく増加しているにもかかわらず、値下げのために売上と利益が圧迫された。
 そして、ビサヤミンダナオ地域の売上計上が未だなので、厳しい結果となった。
 「今期この値下げがもしなかったら、多分今頃時価総額上に吹っ飛んでいますよね?」なんて頭をよぎることもあるが、こうやって出てきた障害をどう乗り越えていくのかを見ていくのもこれはこれで楽しい部分もある。

 ⑵ フィリピン国内通信事業
 売上354、営利-12。
 フィリピン国内通信事業はまだ投資段階(道路使用料なども結構かかっているようである)ではあるが、成長の目安となる指標を一年単位でみると、法人顧客数は211⇒575、ビル数は67⇒116、開通済み帯域量は7365⇒19635と増加が激しく、順調である。
 
いま、こうしている間にもフィリピンにネットワークを敷設しながら顧客数が増えている感じで、また1年経てば大きく成長するだろうと感じる数字の成長であった。

 ⑶ 国内通信事業
 売上2895 営利268
 通信業界の値下げ問題がどれだけ影響でるのだろうと心配していたが、ふたを開けてみると思ったほどの影響はなかった。その点は良かったと思う。

 ⑷ 在留フィリピン事業
 売上264、営利-40
 いわゆる紹介事業だが、前期よりも売上が1億も下がっている。赤字幅も4000万円と3Qよりも赤字が拡大している。
 そもそも今のフィリピン人のスペックからすると、介護事業の紹介はあまり来ないんじゃないかという疑念もあり、個人的には赤字を出していくくらいなのであれば、撤退してフィリピン事業に人材を投入することを検討しても良いのではないかと思う。
 
 ⑸ 医療美容事業
 レーシックも順調すぎる成長で、いうことなし。
 
4 今期予想について
 売上 5780⇒7000(+21.1%)
 営利 945 ⇒1200(+26.9%)

・成長性
 売上、営業利益ともに20%成長を見込んでいる。非常に良い伸びで、この数字自体については、何も言うことは無い。
 ただ、四季報が13億の営業利益見込みを出していたせいで、四季報予想には届いていない。なので、明日からの短期的な株価の動きはわからない。
 東洋経済がどんな計算で13億としたかは不明だが、ips会社予想の12億は、都合よく見ればコンサバな予想なのかもしれない。
 
・上期の費用先行
 上期は費用先行で減益となるが、説明資料15頁のミンダナオ島開拓のところで、2019年の開通を計画とあるので、この点の2300キロメートルの敷設費用が計上されて上期は圧迫されているのだと思う。
 逆に言えば、来期はこの費用計上がなくなるので、さらに利益を見込める。
 

・海外通信事業の計画
 値下げ対抗措置としての、ビサヤミンダナオ地域攻略であるが、
 商談は多いものの「サービス提供に時間がかかっているのが現状」という課題が出てきている。
 そこで、他社のネットワークに任せていられない!ということで、↑の2300キロに及ぶネットワーク敷設計画が出てきた。
 地方への1Q4社計画については、思わぬ障害が出てきたが、他社任せにせず自社で地方のネットワークを構築することはまさに「開拓」という感じがして、対策としては非常に良いと感じている。
 これが、マニラ地区の値下げによる減益を大きくカバーしてくれることを期待している。値下げも原価の根拠から、昨年ほどの大きな値下げはないだろうと予測されている。


5 今後について
 長期での保有株であり、保有を外さなければならないようなネガティブもなく、今期も追いかけていく予定である。
 どんな感じでフィリピンでの工事が進んでいるのか、実際に7月の視察旅行で見てみたいとも考えている。
 5月15日に機関投資家説明会があるが、そのときの資料がまた公開されるようなので、追加でまとめるかもしれない。
  
 今後、株価が下がったときはブログの口調も荒れ気味になるかもしれないが、引き続き応援していきたい。