2019年11月10日日曜日

4390 ips 2Q決算の考察

第1 はじめに

 11月8日時点での株価は1325円。
 ここ一カ月ほど1300円付近をウロウロしていて、2Qを迎えた。25日線を維持しながら上昇トレンドに入っているところだ。
 
 今回の2Qは、率直な私の感想をいうと、長期目線のホルダーは事業の順調さを確認して安心してホールドできる内容である。
 ただ、新しい材料や1QのPLDT提携といったサプライズがなかったので、決算チャレンジで短期で利益を取ろうとすると厳しい。夜間PTSも出来高は少ないものの1233円で終了した。
 個人的には、一時的な下げはあっても、今は短期目線がそんなにたくさんいるわけではないと思うので、今回の2Qを受けて下降トレンドに転換するというのはないんじゃないかなと予想している。
 ただ、今年5月の本決算通過後の激しい下げは記憶に新しく、例えば下げたところを信用で買い向かうといった戦略は地獄の損切りが待っている気がするのでお勧めしない。

 では、ここから分析をしていこう。






第2 海外通信事業について




 まずは海外通信事業から。
 減収減益で、数字は1Qよりも悪いので物足りない。短期リースの契約単価が下がっているのがまだ続いている。売られるとすればここの数字かなと思っている。
 もっとも、あまり心配はしていない。単価の下げによる売上と利益の低下は、どこかで下げ止まるのは間違いないので、どこかで底が来る。
 要するに、リース単価が下がると同時に、リース仕入れ価格も下がるので、利益は下げ止まりがどこかで来るのである。

 そして、今後の海外通信事業の売上を向上させる期待材料はこれである。

 工事が始まったのが、2019年8月からで、今8月、9月、10月の3カ月で2割の379キロが終了している。1ヵ月120キロというところであろうか。

 そうすると、フィリピン人はあまり12月働かないので、11月⇒1月⇒2月で4割完成。3月⇒4月⇒5月で6割完成。6月⇒7月⇒8月で8割完成。9月⇒10月⇒11月で全部完成ということになる。
 しかも、ミンダナオは地震もこの間起こったばかりで、自然災害による影響もあるかもしれない。
 ちと遅いが、こればかりは待つしかない。

 発表では「ダバオ周辺では、年度内に回線が提供できるよう」とあるので、全部回線が敷設しおわらなくても売上はたつようであるが、これは投資期と考えて、本当に待つしかない。フィリピンは日本と違って、よく工事スケジュールも変わる。
 
 個人的な見解としては、いくつか2Qに間に合わなかった地方案件の開通が3Qには寄与する予定であるが、今期の3Qの段階ではミンダナオの売上は乗ってこないので、次の3Qの海外通信事業の売上に期待するのも厳しいと思う。
 ただ、15社とはすでに契約済みである。工事が終われば開通して売上が計上されるのは確定している。長い目線で見ることができるかという問題である。
 

第3 フィリピン国内通信事業
 増収増益で、順調である。
 ちょっと勘違いしている人も多いので、念のため言うと、フィリピン国内通信事業については、inifiniVANという近年中に上場予定の子会社の事業になる。
 ipsは64%の持ち分となる。そして、3カ月遅れになるので、今回2Qで計上されているのは、2019年4月~6月分までの売上と利益である。
 
  
 相変わらず前年比でみると、売り上げは+1756%と伸びが凄まじい。
 今は、フィリピン国内通信事業は投資期である。人も増やして契約を取りに行っている。
 6月末時点での提供先は649件、ビル数は137棟とまた大きく増えた。これはストックビジネスである。

 MRT3号線が今後できれば、提供できるビル数が増加するので、ますます成長は加速していくだろう。 


第4 国内通信事業




 順調、というか伸びている。
 もともと横ばいぐらいのイメージであまり期待していなかっただけに、びっくりしている。これはポジティブ。

第5 在留フィリピン関連事業
 ipsの問題事業である。
 通期予想は、売上4億円で利益0である。上期に2億売り上げるはずが1億しか売り上げていない。赤字も拡大している。 
 もともとこの人材派遣がipsのきっかけとなった事業であることには敬意を表するが、時代は大きく変わってきている。フィリピン人の妻の高齢化、若い人は英語が喋れて教育もされていて、介護事業に興味を示さない。フィリピン人の能力のスペックは日本がイメージしているのとはもうずいぶん違うのである。

 個人的には、大きな赤字を出している以上、解決策が見いだせないのであれば規模を縮小するか、潔く撤退して他の違う魅力ある事業にリソースを割いて注力してほしい。

第6 医療美容事業
 

 ここは持ち分50%なので、それは頭に入れておく必要である。純利には50%だけ反映される。
 数字はとにかく順調で伸びも良い。レーシック事業においては、フィリピンで1番の実績を持っている。

 もともと、私個人としては2つの病院なので、売上限界があり、あまり伸びを期待してはいけない部門だったが、3院目ができることになり、売上の限界が大きく伸びた。
 ボニファシオグローバルシティの店舗に視察でいったときは、1階にディーン&デルーカが入っている素敵な場所であった。
 
 さらに、今年の8月に大きな成長を予感させるビッグニュースがあった。

そう、ipsは
 日本の人間ドッグの技術をフィリピンに持ち込もうとしている。

 市場も大きそう、というか予防医療はまだフィリピンでは未開拓の分野だと思うので、個人的な期待値が高い。

 機材などの資金調達をするために、フィリピンでIPOする予定である。

 テーマ性といい、フィリピンで上場したら今のipsよりも時価総額大きくなったりするんじゃないかとも思うが、いや、それまでにはipsも今より時価総額3倍くらいになっていると思いたい。

第7 終わりに
 というわけで、今回の2Qはipsの事業の順調さを裏付けるとともにと、特に在留フィリピン事業に関して課題を与えるものとなった。

 引き続き、長期の目線でみれば、このあたりの株価など誤差誤差誤差ァ!

 の精神で、ゆっくりフィリピンの成長を楽しみにしながら応援していきたい。

 そういえば、明日11日は機関投資家説明会である。今回、補充説明資料があっさりしたものだったので、機関投資家説明資料で何か新しいものがあれば、また更新するかもしれない。