2018年11月19日月曜日

ゴーンと金融商品取引法違反と罰則

日産自動車のカルロスゴーン会長が、東京地検特捜部から取調べを受けている。

任意同行⇒逮捕への流れということで報道されているが、特捜部が逮捕する場合には、一旦任意同行を取ってから逮捕するのが通常である。なので、これから逮捕の流れは間違いないと思う。

そして、特捜部が逮捕するときは、証拠隠滅されないように事前に捜査をする。その上で、たとえ取調べで否認されたとしても、起訴できるようにと証拠を固めてから逮捕するのが通例である。なので、証拠関係も客観的なものは既に十分整っていると思われる。

さて、ゴーンは何をしたのか。
現時点での報道によれば
「自らの報酬を過少に申告した疑い」ということである。

簡単に言えば
本当の報酬はもっと多いのに、嘘をついて少なく有価証券報告書に記載させた
ということである。

有価証券報告書上は「7.35億円」もらってると記載されているが、これよりも多いだと・・?

ちょっと法律を見てみる。
有価証券報告書の虚偽記載について、金融商品取引法197条1項1号をみると

第百九十七条 次の各号のいずれかに該当する者は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第五条(第二十七条において準用する場合を含む。)の規定による届出書類(第五条第四項の規定の適用を受ける届出書の場合には、当該届出書に係る参照書類を含む。)、第七条第一項、第九条第一項若しくは第十条第一項(これらの規定を第二十七条において準用する場合を含む。)の規定による訂正届出書(当該訂正届出書に係る参照書類を含む。)、第二十三条の三第一項及び第二項(これらの規定を第二十七条において準用する場合を含む。)の規定による発行登録書(当該発行登録書に係る参照書類を含む。)及びその添付書類、第二十三条の四、第二十三条の九第一項若しくは第二十三条の十第一項の規定若しくは同条第五項において準用する同条第一項(これらの規定を第二十七条において準用する場合を含む。)の規定による訂正発行登録書(当該訂正発行登録書に係る参照書類を含む。)、第二十三条の八第一項及び第五項(これらの規定を第二十七条において準用する場合を含む。)の規定による発行登録追補書類(当該発行登録追補書類に係る参照書類を含む。)及びその添付書類又は第二十四条第一項若しくは第三項(これらの規定を同条第五項(第二十七条において準用する場合を含む。)及び第二十七条において準用する場合を含む。)若しくは第二十四条の二第一項(第二十七条において準用する場合を含む。)の規定による有価証券報告書若しくはその訂正報告書であつて、重要な事項につき虚偽の記載のあるものを提出した者


とある。
法律があまりにも読みにくい。。。

が、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金と両方が刑罰として課されるということがわかる。社会をにぎわせてる程度もあって、今回は結構重い気がする。

これにくわえて、課徴金規定(金融商品取引法172条の4)があり、
600万円か時価総額の10万分の6の大きい方が課徴金として課される。

今の日産自動車の時価総額は
4兆2439億2900万円であるからこの10万分の6は
2億5463万5740円ということになる。罰金より課徴金の方がきつい。

日産自動車についてはどうか?
金融商品取引法207条を見ると、代表者などが違反行為をした場合、会社に対しても罰金を科すという規定があり、

有価証券報告書の虚偽記載は7億円以下の罰金

である。

罰金という意味での日産の最大リスクは7億円以下の罰金なので、金銭的損失の意味では大したことないように感じる。

ということは、日産の株価はゴーン会長がいなくなることによる不安やゴーン抜きで今後やっていけるかというところを市場がどのように受け止めるかということになるかな。

個人的には、いくらゴーンの下でのリストラで劇的な回復を果たしたとはいえ、前期は売上も利益も低迷している状態の中、超高額報酬でゴーンをこれ以上居させても利益にならないと思うので、不正をしていたゴーンを追い出すことはむしろ好感している。

ちなみに、海外販売でゴーンがどのくらい剛腕を振るっていたのかは全く知らない。

ので、個人的に株価は戻って、逝っちゃわないと思っているが、今ルノーの株価は逝ってますね。このまま逝っちゃったらごめんなさい。


~追記~
さっそく日産からプレスリリースが出ました。
当社代表取締役会長らによる重大な不正行為について

これをみると、日産からの内部通報のようですね。しかも日産の資金を私的に使うなどの不正行為もゴーンはやっていたようです。

権力の腐敗をただすという意味で、やっぱり好感してます。