2018年11月9日金曜日

4390 ips アイ・ピー・エスの検討(2018.11.9)


本日2Q決算を発表した。
10月24日の上期上方修正で、1Q比減収減益であったため、成長性鈍化と市場に受け止められて暴落した。
が、ここには大きな魅力があり、私の中ではテンバガー候補銘柄である。簡単に、検討結果をまとめたい。

1 「長期的に売上高200億円、経常利益50億円」
 これは、ジャパニーズインベスター98号においての、宮下社長のインタビューで出た数字である。
 IRから数字の詳細について聞いたところ、機関投資家からの「期間は限定せずに、どの程度の規模まで行かせることができるか」との問いに対して、ipsが「今回の調達資金で行う投資計画をベースにして出した数字」が売上200億、経常利益50億とのことであった。そして、実現可能性がない数字では立てていないとのことである。あくまで長期目線ではあるが、今期の経常利益は9億なので、増資なしで5倍以上の見込みがある。

 現在、ipsはフィリピンへの事業へ大きくシフトしている。
 11月9日公開の2Qの説明動画(http://irtv.co.jp/4390/kes201903q2)5分30秒当たりからによれば、売上200億の話を出した上で、「売上200億円のうち、半分を法人向けのデータサービスから、もう半分をCA事業向けの再販で獲得する」と言っている。この中で日本国内通信や在留フィリピン事業は含まれていないことからも、フィリピン事業へ大きくシフトしていることが分かる。
 経常利益50億を達成したときの内訳は、個人的には海外通信事業(CA事業者向け)とフィリピン国内通信事業(法人向けのデータサービス)で45億、医療美容(眼科など)などで5億程度なイメージである。

2 「期ずれ」について
 10月24日、私の誕生日にipsは上期上方修正したのだが、翌日に大暴落し、何とも切ない誕生日プレゼントとなった。
 その一つの要因となったのが、「期ずれ」についてである。下期へと一部案件がずれたので、売上が未達となった。期ずれについては、売上未達での言い訳に用いられることもあるとのことで、投資家に不信感と失望を抱かせることとなったようである。
 ただ、11月6日付で出たPRで期ずれについて説明があった。
 期ずれ案件の一部については、回線敷設工事の遅延のためにゼネラルサントスにある事業者1社へサービス提供が遅れていたとのことで、12月中にサービスを追加提供することができたとのことである。
 IRに詳細を質問したところ、ミンダナオ島間の回線調達の際に遅れていたものが、12月に開通の目途が立ったということであった。
 またVisayaにおいて新案件を3つ取得したが、これについては今年の事業計画には立っていなかったものである。
 フィリピンという新興国での事業において、事業計画にあたって障害もあるが、一方で挑戦や幸運から得られる新規案件もある。それが今のipsを取り巻く状況である。

3 「Third Telco(サードテルコ)」について
 フィリピン国内通信事業が利益率がおそらく一番高く、今後の伸びしろも多い部分と思われる。
 マニラ首都圏における法人向けインターネット接続サービスである。
 ここで気になるのが、サードテルコである。サードテルコというのは、フィリピンで携帯電話の電波を新規事業者に入札させるというものであるが、チャイナテレコムが落札した。
 これについて、ipsにどのような影響があるかについてであるが、おもにサードテルコは地方の個人対象の携帯事業の分野であって、現在のipsは首都圏において、確実に収益の上がる分野に集中的に取り組んでいるものであり、今の段階でサードテルコの影響は基本的に受けないようである。

4 「通期業績予想の修正」について
 通期修正があれば、PERもより割安になる・・ということもあり、とても期待してしまうが、ipsにおいては、4Q直前まで通期の上方修正は期待できない。
 原因は、「国内通信事業」である。 
 国内通信事業においては、事業者間の通話料金は業界慣習に基づき、本年度単価は3月頃に決まる。ところが、今年は一部の携帯事業者が大幅な値下げを発表した。そのため、使用料の単価に与える影響が不明なので、3月に単価が決まるまで、通期修正はできないようである。こんな所で携帯値下げが影響してくるとは・・
 上方修正をして、下方修正をしてしまうと昇格に影響することから、IPO一年目の会社は特に下方に気を付ける必要がある。
 というわけで、次回の3Q決算においても、どれだけ順調にいっていても通期の上方修正はなされない可能性が高いということをきちんと認識しておく必要がある。


5 終わりに
 11月21日に機関投資家説明会をやるということで、説明会資料もまた楽しみに読みたいと思う。願わくば長期で保有してくれる機関投資家を捕まえてほしい。
 
 個人的にipsの将来性は今年のIPOの中ではピカイチと考えている。
 友人がセブに住んでいるが、フィリピンの成長はもの凄いらしい。フィリピンには住民票がなく、実際には統計以上の人がいるようである。他方で賄賂などがはびこる権力腐敗も起こっているとのことであり、その中で挑戦していくipsは障害も乗り越えていくと信じている。長期投資銘柄として、ゆっくり応援していきたい。